T.C.T

本当にあった恐い話
ビグスビー装着までの奮闘記 by Zuetan

Katsumi様が言う「テレキャスにビグスビーのアームをつけたら・・・呪われます。」は
まぎれもない事実と確認されたので、ここにレポートを送らせていただきます。


Katsumi様のサイトにあります画像Fig.3のビグスビー(Bigsbyロゴがついた物)は
テレキャス用として売られながら、実はテレキャスに装着するのは大変困難なビグスビー
であり(Fマークが付いてる物は問題無く付けられるようですが)、その事を知らずにそれを装着
しようとした私は本当に肝を冷やされる思いをしました。

私が購入したテレキャスはFender USA '52 Telecaster(殆ど未使用の中古)です。ビグスビー好きの私は、
ぜひこれにビグスビーを取り付けたいと思い、どうせ付けるならばFマークが付いているやつではなく、
Bigsbyロゴが付いているやつにしようと思ったのです。なぜ私がこのタイプのビグスビーを取り付けたかったかと
申しますと、このビグスビーは50年代初期に売られていた物で、リイッシューですが私のギターの年代と
合致させたいという思いがあったからです。私は早速アメリカのeBayオークションでそのBigsby B-16を入手しました。
しかしこのビグスビーは固定式アームではなく、現行のビグスビーと同じ可動式アームが付いていたので、
ビグスビー本体とは別に、復刻品の固定式アームをアメリカより取り寄せました。
これで画像Fig.3とルックスは全く同じになるはずです(画像はレフティーになってますが)。

しかし喜ぶのもつかの間でした。このビグスビーを取り付けるには大きな問題がある事に気づいたのです。
このビグスビーを取り付けるにはリアPUをオリジナル・ブリッジから取り外し、ビグスビー本体に付いている
PUマウントに取り付けなくてはなりません。ギターのボディーにはPUを取り付ける部分の下に穴(ザグリ)が
ありますので、PUの位置は変えられません。しかしそうなると、
ビグスビー本体のBigsbyロゴがある部分の下(先端部分)がギターボディーの先端部分と合わないのです
どう合わないかと申しますと、ビグスビーの方がギター・ボディーの先端部分よりも5ミリ程短かったのです。
ビグスビーの先端は直角に曲がっていて、ボディーの側面(ストラップピン付近)からネジで固定しなくては
ならないのですが、これではビグスビーの先端がボディーの側面まで届かないので、このままでは取り付け不可能
だったのです。私は仕方なくギター・ボディーの先端(ビグスビーを固定する部分)を深さ5ミリくらいに削る事を
余儀無くされたのです。手に入れたばかりのギターを削るという行為には多少の罪悪感と、
絶対後には引きさがれない道に入り込もうとしている自分に怖さもあったのですが、憧れのルックスを
手に入れるためにはやるしかないと思ったのです。ただこの作業はそれほど困難な事ではないと思ったので、
これがうまくいったら憧れのルックスが手に入るんだと思いつつ作業に取り掛かったのです。

しかし、この問題は実はほんの序の口で、その後これよりも数倍の苦難が待ち受けようとは、
その時は知る由もなかったのです。私はハンディールーターでギター・ボディーを削りはじめたのですが、
この時一つ失敗を犯していまいました。手元が狂い、
ハンディールーターをボディーの削るべきではない所に接触
させてしまったのです。
このため、ボディーに長さ5ミリ位、深さ1ミリ弱のキズを付けてしまったのです。このキズを修理するために
結構苦労しました。クリヤラッカーを何度も重ね塗りし、その後ペーパーでツライチになるように均し、
コンパウンドで磨いてなんとか目立たないようにしたのです。そしてビグスビーが取り付けられるようにボディーを
削り終えた私は、早速ボディーに穴を開け、ビグスビーをギターに取り付けてみたのです。その時は
「やったぞ!これでやっと完成だ!」と心で叫びました。それで、今度は早速弦を張ってみたのです。
その時です!! ッガーーーンンン!!!!!頭骸骨の中で悪魔のドラが鳴り響きました。
なっ、なんと、このビグスビーに付いているブリッジを一番低くセットしても、
ものすごく弦高が高くて、12フレットあたりでネックと弦の間が2センチ位もある!! 
そして、
それなのに弦はPUハウジングに接触している!!! 
「ギャーー!!! どうしよう!!」「こんなモン弾ける訳ねーじゃん!!」「飾りにしてぁカッコ悪すぎだよ!!」 
私はこの時ほどポール ビグスビー様を恨んだ事はありませんでした。
「なんでこんなモノを作ったんだ!これはフェンダーギターを使ってるヤツへの嫌がらせか!!」
「ポール ビグスビーはフェンダーギターになんて事するんだ!!」と。実は私はグレッチギターを以前から
こよなく愛しておりまして、今までは「ポール ビグスビー様はなんてすばらしい人なんだ。こんなにすばらしい
ヴィブラートユニットを発明して・・・」などと思っていたんです。しかし怯んでいる場合ではありません。
このギターをなんとかしなくてはならないのです。このヤッカイ物(このビグスビー)を外して
オリジナルに戻したいけど、ボディーを削ってしまった以上、元に戻してもカッコ悪いし、
などとあれこれ考えた挙句、このヤッカイ物とギターを生かすためには、ネックの取り付け角度を変更
するしかないと思ったのです。でも、それじゃーどうやってネック角を変えるのか、色々考えました。
例えば、ネックとボディーの接地部分のボディー側を斜めに削る方法、それからもう一つは、
ネックとボディーの接地部分のネック側を斜めに削る方法。しかしこれらの方法はリスクが大きすぎると
思ったのです。どれだけ削ればどれだけネック角が変化し、そしてどれだけ弦高が変化するのか検討が
付かないため、削り過ぎて弦高が低くなりすぎてしまった場合、対処の施し様がなくなって、
この問題を余計に泥沼化させることが容易に想像できたのです。そこで私が考えた得策は、
斜めに削った板をネックとボディーの間にはさみ込んだ状態でネックを固定するという方法です。
これならネックやボディーに手を加える事無く、ネックを寝かせる事ことができると思ったのです。
そしてこれならば削りすぎてしまってもまた新しい板でやりなおせば良いから、一石二鳥です。
素材を何にするかで悩んだ結果アルミ板を使う事にしました。それでヤフーオークションで「アルミ板」を検索
してみると、あったー! 私が必要な3ミリのアルミ板が、それもその出品者は希望のサイズにカットしてくれるとのこと、
私はこれしかないと思い、そのアルミ板を落札しました。そして、その出品者と取引に関するメールのやりとりを
している時に私は彼に図面を送り、尋ねてみました。「実は私が欲しいのは板の面が傾斜している物なんです。
板の高さが3ミリから1ミリに傾斜している物がほしいのです。」と、すると先方から
その様なややこしい加工はやっておりません。
と敢え無く却下されてしまいました。私は仕方なくその3ミリの板を送ってもらい、自分で加工することにしました。
幸いに私はグラインダーやドリルなどの工具は持っていましたし、手先の器用さはほんの少しだけ自信ありましたので、
とりあえずやってみようと思ったのです。しかし、板の形を整えたり、ネジ穴を開けるのは良しとしても、面を平らに
傾斜させるのは難しいぞと思い、こんな事ができる工具はないかと、またホームセンターへと足を運びました。
それで見つけたのが、ベルトサンダーという機械でした これはキャタピラみたいなサンドペパーがぐるぐると回転しながら
平面で削っていく機械で、私はこの工具を購入し、早速家でアルミ板を削ってみました。しかし、やってみると
なかなか難しく、アルミ板を持っている手がどうしてもぶれてしまい、なかなか平面にならず、板の真ん中部分が
残ってしまうのです。それで、せっかく買ったこの機械を使うのを止め、サンドペーパーを使って、
根気良く手で削ることにしました。この作業は結構大変でした。それでなんとか平面ぽく傾斜になったので、
次はグラインダーで縁を整え、そしてドリルでネジ穴を開けました。出来上がったその板はネック側に向かって
傾斜していて、形はネックを固定する部分に使われているプレートと同じ様な物です。

ところで、言い忘れていましたが、実はこれらの作業と平行して、もう一つやっていた事があったのです。
それはeBayオークションでたまたま見つけたタイガーフレームがめちゃくちゃカッコいいテレ用ネックをこのギターに
移植するという作業です。ネックの交換自体はそんなに大変な事ではないのですが、このネックは未塗装で、
ナットも付いていなかったので、塗装する必要があったのです。私は以前 現行グレッチの塗装を剥がし、
ラッカーを再塗装した経験があったので、こネックも自分でやることにしました。ヘッドストックには当然
「Fender "Telecaster"」のロゴは無かったので、ロゴ・デカールを探すことにしました。すると、ヤフーオークションに
「Fender "Broadcaster"」のデカールが出品されていたので、私は「これがいいぞ!!」と思い、それを購入したのです。
しかしこのデカール、台紙に付いていた時は分からなかったのですが、ネックに張ってみてビックリ、
文字のバックが透明ではなく、アイボリーのようなツブシだったのです。でも仕方ないからそれを使う
ことにしました。ですから画像の様に一風変わった「Fender "Broadcaster"」になってしまったのです。
オリジナルのブロードキャスターとはちょっと違うけど、「まっ、これはこれでいいか」って感じです。

それから、私にはもう一つ気がかりな事がありました。それはネックをボディーに固定するための4本のネジです。
このネジは通常約45ミリの長さですが、間にプレートをはさんだ場合、ネック側へ入るネジの長さが短くなって
しまいますので、これでは強度に問題があるかもしれません。ですから私はインターネットを駆使し、長いネジは無いかと、
ギァーパーツを扱っている店をくまなく探しました。しかしネック固定用のネジはどれも長さが45ミリで、それより長いネジは
在りませんでした。そこで私は地元のネジ専門店に出向き、「45ミリ~50ミリ位の長さの丸皿タッピンねじありますか?」
と尋ねたら、店員は分厚い本の様なカタログをペラペラとめくり、「45ミリか50ミリだったらありますよ」と答えが返ってきました。
私は50ミリの長さであればネックの反対側(指板の方)に突き出る事はないと分かっていたので、
「それだったら50ミリの物を下さい。在庫はありますか?」と尋ねました。すると、
「取り寄せになるよ、それからバラ売りはできません。一箱2,000円くらいです」と返ってきました。私は、
「一箱も要らないのに」と思いつつ、仕方なくそのネジを一箱注文し、後日そのネジを取りに行きました。そして、
その時またビックリで、2,000円くらいだった筈のネジが、実は3,500円もしたのです。私はしぶしぶ3,500円を
支払い、そのネジを持って家へ帰りました。その道中、車を運転しながら、
必要なのは4本だけなのに、なんで200本も買わなきゃいけないんだ。それも3,500円、
たったネジ4本のために3,500円かー、たけーなー」などとぶつぶつ独り言を言っていた事は、言うまでもありません。
そしてその後、アルミプレート加工とネックの塗装が一応完成したので、ネックをボディーに組み込むことになりました。
その時は、弦高がどんな風になっているかハラハラドキドキといった心境でした。そしてネックの固定が完了し、
弦を張ってみたのです。そして私は、「いいぞ!!!!!!」と心で叫びました。「ほんの僅かに弦高が高いけど、
これならプレートをもう一度外して微調整すれば完璧だ」と、しかし、その後、弦の取り外し、ネック取り外し、
プレートの微調整、ネック取り付け、弦の取り付け、という作業を10回位もやった後、遂に、
やっとのことで、Fender USA '52Telecasterへのビグスビー移植手術が完了したのです。


口で言うのは簡単ですが、これらの作業を一つ一つ実行する事は本当に大変でした。本当に、
ビグスビーはフェンダーを呪っているのではないかと思ったくらいです。こうなることが初めから分かっていれば、
私はテレキャスにこのビグスビーを取り付けようなどとは絶対に思わなかったはずです。

私はその後、これほど多くの問題があるビグスビーが販売されていることに疑問を抱き、これを販売しているサイトを
開いてみました。そして商品説明をじっくり読みかえしてみると、ビックリ!!! 
そこにはちゃんと説明書があったのです。以前は気付かなかったのですが、
「Please note that you will probably have to adjust your neck angle to compensate for the height of the pickup ring! 
(This is a job for a knowledgeable repair person.) 」と。
(訳:「あんたはネックに角度を付けないとダメよ。それってシロートには無理な作業よ」)

ですから皆さんも、ギターパーツを購入する時は良く調べてからにしましょう(それは私)。

今のところ呪いによる影響はこんな感じですが、この先にもどんな悪事が待ち受けているかわかりません。
何かありましたらその時にまたご報告させて頂きます。完成したギターの画像を数点お送り致しましたので、
よろしかったらご覧下さい。それから、このタイプのビグスビーが1953年に特許取得した時の、
特許図面の複写を入手致しましたので、そちらの画像もご覧下さい。
それでは、

Zuetan


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